とびっきり写真塾

羽幌町・天売

〜海鳥の聖域でプロの写真家に習う〜
vol.2
「海獣」という文字が一瞬 頭をかすめ、微かな震えが体を走る
国内では「幻の鳥」となってしまった
オロロン鳥
10m四方に200前後が作られるという巣穴がどこまでも続く(左)
卵が孵って間もないこの時期、親鳥はエサを口一杯に持ち帰る(右)
天売島は海鳥と人間が共生している、世界的に貴重な島。5月最後の週末にそこで開催された「とびっきり写真塾」に参加した。海鳥をはじめ天売島の動物、花、森、海などの撮り方を島の自然の中で教わる一泊二日のツアーだ。羽幌港から羽幌沿海フェリーで約1時間半、焼尻島経由で天売島に降り立つ。港で出迎えてくれた(有)ネイチャーライヴの代表取締役 寺沢孝毅さんがこの「塾」の講師。寺沢さんはアラスカやボルネオ島、コスタリカなど世界を舞台に活躍するプロの写真家で、この天売島を拠点としている。
1日目、(有)ネイチャーライヴの拠点でもある「海の宇宙館」で、写真撮影の基本を習う。つづいて船外機つきのボートに乗り、 オジロワシ、ウミネコなどが飛び交う港を出て海鳥の聖域である島の西側に向かった。途中アザラシの群れに出会う。彼らと私たちの間は10m余。その間にあるのは静かに揺れる海面だけだ。檻や柵なしにこれほど大きな野生動物と対峙するのは初めてだった。さらに進んで断崖を見上げる頃、「オロロン鳥がいます」と寺沢さんが教えてくれた。今では幻の鳥となってしまったこの鳥を写真に収めることができたのは本当に幸運である。
夕食後、ウトウが一斉に帰巣する繁殖地へと向かう。辺りが暗くなるにつれて、徐々に増えるウトウの数は、日が完全に沈んでしまうと加速度的に増え、空を埋め尽くすほどになった。この状況を「体験」以外で伝えるのは困難だ。「どうやったらこの凄さを人に伝えられるだろうか」寺沢さんほどの写真家でさえ”伝える”ことの苦労は尽きないらしい。
2日目、「雨上がりの早朝の森を撮る」とのこと。朝6時に出発して、森の中を散策しながら撮影を続ける。森の甘い匂いと、潮風のさわやかな空気に体がつつまれた。午後からは、陸路で島を一周し、赤岩、観音岬展望台などを巡りながら写真塾がつづけられた。
私が撮った写真の良い点、悪い点を海の宇宙館のモニターで見ながら寺沢さんが評してくれた。同じ場所で撮った寺沢さんの写真と見比べる。決定的に「何か」が違う。はじめはその違いがわからなかったが、寺沢さんに教わったこの2日間の終わり頃には、その「何か」が少しだけわかった気がした。
 この小さな島の奥深さは一度だけではわからない。何度も人を引きつける魅力のある島だ。
(編集局)
写真塾のほか天売島における各種体験メニューがあります。
詳しくはお問い合わせください。

(有)ネイチャーライヴ (海の宇宙館)

開館時間

5月、9月/9時〜17時
6月〜8月/8時〜17時
休館日 10月1日〜GW前(冬季休館)
お問い合わせ 電話/FAX 01648-3-9001
公式ホームページ http://www.teuri.jp/watch.html
 
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