一日陶芸体験~いちい窯

小平町

 
vol.12
時間を気にせずのんびり体験できるのも陶芸ならではの魅力
楽しく指導してくれた村井フミ子さん
(向かって右)
形が完成。後は素焼きして焼き上がりを待つのみ
留萌市から北へ車で約30分ほどで小平町鬼鹿に到着する。鬼鹿は港町。
かつて鰊漁で栄え、道北管内で最大規模の鰊番屋、旧花田家番屋(国指定重要文化財)が現存する。
市街地を抜け、国道232号線から東に入るとすぐに鬼鹿焼き「いちい窯」の工房が見える。
陶芸家の村井フミ子さんが主宰する工房では、陶芸の一日体験ができ、初心者ながら茶碗作りにチャレンジした。
工房には萩から取り寄せた土や道具類、窯に入れる直前の作品が並んでいる。
少し緊張した気持ちを、村井さんの気さくな語り口が和らげてくれる。
先ずは、既に柔らかく練られた灰色の粘土に触れてみる。
ぎこちない手つきながらも、冷たい粘土を丸く形成し、手ろくろ(手動式の回転細工台)の中心に据える。 
次は、その上から両手の親指をゆっくりと押し当て真ん中に穴を開けてゆく。
3cmほど広がったら、ろくろをゆっくりと回し、コーヒーカップをイメージしながら側面の土をつまみあげてゆく。
土の感触がしっとりして心地良い。
円筒形になり側面がある程度の高さになったら、指や木ベラで表面の凹凸をならして形を整える。
「土の厚さを薄くしすぎないようにするのがコツ」と村井さん。
ろくろのスピードに慣れてくるにつれ、いつしか陶芸家気分、夢中で作り続けた。
好みの形になったら外側を、薄い針金を輪にした「かきべら」でカンナをかけるように余分な粘土を削り滑らかさを出す。ここまでくれば、完成までもう一息、仕上げの工程だ。
作品の高さを均等にするため最上部を削り、ろくろを回しながら、水で濡らした「なめし皮」で口が当たる部分を滑らかにする。そして、茶碗をろくろから切り離すため、接着面に「きり糸」を廻し糸を絞る。
形を崩さないように両手で静かに茶碗の下部を持ち上げ、ろくろから茶碗を離すことができた。
「たとえ形が悪くても、自分が作った茶碗がいちばん!」と村井さん。
いちい窯では自由に土に触れさせてくれ、充実した1時間30分を満喫できる。もちろん手の添え方、道具の使い方は丁寧に教えてくれるので安心だ。
最初に描いていたイメージと違っても、それもまた陶芸の醍醐味だ。
完成した作品は乾燥させ、村井さんが釉薬を施し、焼いたのち発送(着払い)してくれる。
仕上がりは届くまでのお楽しみだ。自作の茶碗に手料理を盛りつければ、いちい窯で過ごした楽しさが甦るだろう。
 
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