旬の人
人と繋がる写真をとりたくて
松葉 師正さん(羽幌町)

どこまでも青く澄んだ空、日差しの強さ、白く輝く夏の雲、 虫取り網と麦わら帽子、少年達のいきいきとした表情。 真夏の少年達の一瞬を鮮やかに切り取った一枚の写真『夏休み』。
松葉師正(まつば のりまさ)さんの作品だ。この一枚は心の中でずっと暖めていた『いつか撮ってみたい』イメージだった。

松葉さんは羽幌町生まれ。松葉家は昭和30年代から羽幌町で店を構えて時計やカメラ、めがねを扱ってきた老舗店を営む。松葉さんは子供の頃からカメラが大好きな少年だった。高校生の時にはそれまで貯めたお年玉で念願の一眼レフカメラ『キャノンA1』を買った。当時、卸値でさえ10万円以上もする高価なカメラだ。地元の高校を卒業後、大学へ進学し、更にはメガネの専門学校で学び、実社会での研鑽を積んだのち羽幌町に戻り家業を継いだ。松葉さん28歳のときだ。
まもなく地元の写真クラブに所属、月に一度の写真クラブの例会では互いに切磋琢磨し合う仲間達に恵まれた。松葉さんは地元の人を被写体に撮り続けてきた。港で働く漁師たち、父、母、近所でともに暮らす人々、なにげない日常の暮らしい焦点をあててきた。

現在の被写体はもちろん人。我が子は生まれたときから撮り続けているが「今ではレンズを向けてもポーズをとってくれません。だから、あの『夏休み』という作品は、素の我が子と幼なじみの少年が写っているのです」と語る松葉さん。

日頃から心の中に思い浮かべていた構図、色、イメージ、 すべての条件が整った夏の一日にとらえることができた一瞬の奇跡。
望遠レンズをのぞき続けた、あの時間は夢の中にいる感覚だった。

これからも撮り続けるのは『人』と断言する松葉さん。
写真を撮るという行為は自分と人がつながることを意味する。恥ずかしがりやの漁師さん、農家さんたち。カメラを携えて彼らの世界へ入っていく緊張感。あるとき、酪農家さんから電話が入った。「もうすぐ子牛が生まれるぞ」。カメラを車に積み込み牛舎へ急ぐ。松葉さんが到着すると同時に子牛は生まれた。その瞬間を撮った作品『生命誕生』は、萌える天北オロロンラインフォトコンテストで見事入賞した。

まつばメガネの店内には大切なカメラが飾られている。もちろん、高校生のときの思い出のカメラも。一緒に暮らすマチの人々との繋がりをこのカメラで切り取り、一枚一枚に凝縮していく松葉さんだ。

■ 明治安田生命website CM「時をこえて 夏色の日記編」

■ 萌える天北オロロンライン 第2回フォトコンテスト

松葉師正さん
松葉 師正さん
昭和40年生まれ
羽幌町在住

まつばメガネ 経営

夏休み
明治安田生命会社主催のフォトコンテストに入賞。ホームページでも公開されている。TV-CMにも起用された。
カメラ
松葉さん愛用のカメラ達
思い出のカメラとともに