横内さんは昭和17年生まれ。
増毛町の漁家に生まれた。中学卒業後、恩師の勧めもあり旭川市にある職業訓練学校へ進学、建具職人となった。日高で働いているときに知り合った順子さんと結婚。結婚後間もなく横内さん夫妻は増毛町に戻り、義兄が営むホタテ養殖を手伝うようになった。「かみさんがいるから漁師が続けられる」二人三脚でやってきた40年と二人は笑い合う。
一年を通じて行われるホタテ養殖の作業。早春のこの時期、ザブトンカゴと呼ばれる網目の細かいカゴから稚貝を取り出し、網目の大きな丸カゴへ移す作業が行われている。4月にはオホーツク海沿岸地区への出荷作業も始まる。沖合の養殖場から水揚げし選別、待機する保冷トレーラーに素早く積み込む。
男女の区別なく同じ作業を手際よくこなす人々の姿は、かつてのニシン漁を彷彿させる。作業は家族総出。加えて雇いの作業員達が息のあった手順で動く。段取りが狂えばケガをすることもある。「気心を通わせるのが安全作業の秘訣。親方も一緒に同じものを食べて飲むのが一番」と休憩時間を大切にする。
昨年の夏、船を新造した。第58北龍丸。この船の舵とりを息子と娘婿に任せた。家族と仕事ができる幸せを感じながら、この春も日本海の荒波で育ったホタテ稚貝を旅立たせる日がやってくる。
2010.04.29 増毛町